2022.08.19
再エネ発電所ってどんなところ?~大沼地熱発電所編~
昨年、地球クラブは水力発電所の紹介動画を制作しました。
今年も新たに2つの発電所(大沼地熱発電所、酒田風力発電所)の紹介動画を制作予定です。
制作準備のために発電所を訪問しましたので、今回は大沼地熱発電所についてご紹介します。
大沼地熱発電所は、きりたんぽ発祥の地である秋田県鹿角(かづの)市の八幡平の国有林内にあります。
日本で3番目に完成した地熱発電所で、1974年6月より運転を開始しています。
発電所の概要は以前のブログをご覧ください。
さて、まずは地熱発電のしくみ、構造について少し詳しくご紹介します。
地熱発電には欠かせない3つの要素があります。
それは...
マグマの熱によって水が熱せられ蒸気ができます。
その際、キャップロックが蓋となりマグマの熱を閉じ込めることで蒸気を作ることができます。
この地層がなければ熱が逃げてしまい蒸気を生み出すことができません。
火山帯の日本列島、どこでも地熱発電ができるものではないのです。
下図でも3要素を示してみました。
≪地熱発電の構造≫
【引用元】三菱マテリアル様ご提供の資料より
続けて、大沼地熱発電所では、地下から取り出した蒸気を使って、どのように発電しているのか?をご紹介します。
≪地熱発電の仕組み≫
【引用元】コープデリでんき「FIT電気ニュース」4号の図に写真を追加したもの
セパレーター(上図の写真①)では、遠心力を使って、蒸気・熱水を分離させます。
蒸気は管を通って発電所へ送られます。熱水は発電に使用しないため、
別の管を通って還元井へ送られ、地中に戻ります。
生産井から移動してきた蒸気は、発電所内にある蒸気タービン(上図の写真②)に送られ、
蒸気の力でタービンを回転させ、その回転で発電を行います。その速さは、毎分3,000回転!
三菱マテリアル㈱板橋様とタービン内にある発電機を回転させるための羽根の一部(実物大)
【弊社撮影】
発電に使用された蒸気はその後、復水器、冷却塔へ送られます(写真③)。
まずは、復水器で温度を下げることで、蒸気を温水に変えます。
次にその温水は冷却塔に移動します。上から散水をしながら、冷却塔上部に設置された大型ファンが塔の脇(壁面)から空気を吸い込むことで水と空気を接触させて温度を下げ、温水を冷却水に変えています。
冷却塔とその壁面【弊社撮影】
ちなみに...、冷却塔の空気を取り込む側面部分には斜めの板がたくさん取り付けられていますが、
この設計は東北地方特有のものです。
冬場は気温が氷点下となりと冷却塔が凍ってしまうため、この板部分から温水を流し込み、
凍結を防ぎます。温水を冷やすための冷却塔ですが、冬場は塔自体が冷えすぎてしまうようです。
今回初めて地熱発電所を訪れて、より安全に、より効率良く発電できるよう取り組まれている現場を
見させていただいたことで、大げさかもしれませんが、この電気を地球クラブがみなさんのところへお届けしている誇りを改めて感じました。
毎日何気なく使っている電気の向こうをみなさまに実感いただける発電所動画を制作します。
どうぞご期待ください。